―若手研究者育成と国際化―
この度、日本研究皮膚科学会理事長に就任致しました。任期は2008年5月から2011年12月に開催されます宮地教授会頭の第36回JSID年次大会までです。2005年から2008年にかけて、島田眞路前理事長の下、事務総長を務めており、International Investigative Dermatology 2008(IID2008)に関わってきました。そのIID2008を無事成功裡に終えることができ、島田会頭と伴に喜んでおります。このIIDでJSIDの世界の研究皮膚科学での地位は確立したと思っております。
振り返りますと、私の事務総長としての仕事の大半がこのIID2008のためのものでした。2006年2月にSIDとの電話会議、同5月にフィラデルフィアで3学会(JSID、SID、ESDR)の会議、同9月にパリで3学会会議、2007年5月にロスアンジェルスで3学会会議を2回、同9月にチューリッヒで3学会会議、そして2008年2月にプーケットで3学会プログラム委員会、というように会議だけでも7回行い、討論の末の議事録をまとめながらIID2008本番を迎えました。この間、国内的には資金調達、日本学術会議との共同開催獲得、サテライトシンポジウムやスポンサードシンポジウムとの調整、等々の仕事を致しました。IID以外にも通常の事務局業務があり、理事会開催、年次大会開催、会員管理に関わることを行い、また結局は実現できませんでしたが法人化が可能か模索しました。
私の理事長としての期間はIID2008とIID2013の間にすっぽり入っております。IID2013はESDRが主催し、エディンバラで催されます。その準備は恐らく2011年頃から行われるでしょうから、私の任期の最後の方に少し掛かるくらいだと思います。つまり私のすべき仕事は、このIID2008とIID2013の間に体力を蓄え、JSIDのさらなる国際的地位つまりは研究レベルを向上させることにあります。
その視点に立ち、1)若手研究者育成、2)国際化、の2点を任期中に成就したいと考えています。
第1の若手研究者育成についてですが、臨床研修システムが大きく変化して、若い医師が大学に残らないようになり、当然ながら研究指向の皮膚科医の数も減っているといわれます。私自身は産業医大に居てそれを強く感じたことはあまり無いのですが、大学によっては、入局者が多くても研究指向の者が少ない、あるいはそもそも入局者が少なく研究どころではない、という現状があるようです。JSIDが医師養成システム全体を変えることはできません。JSIDができることは、若者に皮膚科学研究を知ってもらい、興味を持ってもらい、実現できるように情報を提供することです。そのためには若者の視点に立った心地良いJSIDであることが必要です。幸いこのことについて、新しく事務総長に就任した北大教授清水宏先生は卓抜な才能をお持ちです。より具体的には、JSID内の組織として若手研究者育成のための委員会を設け、年1回全国から皮膚科学研究者を目指そうとする若者を集め、セミナーを行うことを計画しています。これが定着し次世代へのアクティヴィティに繋がっていけば幸いです。
第2の国際化についてです。IID2008をJSIDが主催して、大きくJSIDの国際化が進みました。4日間の本会議のみならず、その前後に行われた10近くのサテライトシンポジウムでは、ここが日本かと思うくらい参加者は国際的でした。JSIDの国際的な地位は確立していると言ってもいいでしょう。こうした状態と歩調を合わせるように、友好学会であるESDRとSIDから何らかの共同作業の申し出があるかもしれません。加えて、日本近隣のアジアの国々から、さまざまな申し出があるかもしれません。年次大会のあり方も含めて今後検討すべきでしょう。
JSIDは優れた皮膚科学研究を推進する学会です。研究レベルを保つ、あるいはより向上させるのは、第一の目的です。JSIDの会員が飛び抜けた研究成果を発表し、世界の一流雑誌に掲載されることは大きな慶びです。加えて広く皮膚科医に開かれた学会である必要もあります。そのために、IID2008は除き過去2回の年次大会ではInvestigative Case Presentationというカテゴリーを設けて、症例報告であっても深く研究した演題に口頭発表の機会を与えてきました。これを突破口に、ややもすると難しいと思われがちなJSID年次大会に、多くの方々が参加していただけるようにしたいと思っています。
清水事務総長ともども宜しくお願い致します。
理事長 産業医科大学皮膚科学 戸倉 新樹
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